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意識が朦朧とした中での出来事のため、
会話の内容や処置の内容・順番などについて、事実と異なる点がある可能性があります。
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前回⇩⇩
通話を切ってスマホを枕元に置いた私を見て、母が「何だって?」と聞いてきます。
「先生が見てくれるから今から病院に来てだって。でも立ったら絶対ドバっと出るから立てないー怖いーでも行かないと血が溢れてくるーどうしようー」
努めて冷静でいようと思っていたのですが、もう限界がきそうでした。
体を横にしていても股から血がどんどん出てくる感覚があり、もうどうすればいいのか分かりません。
貧血なのか、だんだんと頭がボーッとしてきました。
この時の私は既に頭がまわらない状態になってきていました。
母が、このままでは危ないと判断し、「救急車を呼ぼう」と言いました。
そして、救急車で病院まで行ってもいいかどうか聞いてみると言って、もう一度病院に電話をしてくれました。
少し話してまた本人に代わるように言われたようで、私はスマホを受け取りました。
電話口の助産師さんは先程と同じ人のようでした。
この時、既に私の頭は意識が遠のきかけていてボーッとしていたのですが、およそこのような会話をした記憶があります。
「歩けないような状態なの?」
「今横になってるんですけどそれだけでも血が止まらなくて…」
「今もずっと出てるの?」
「起きてからずっと出続けてます血まみれです布団まで真っ赤です。止まらないんです。」
「………分かりました。先生に確認するので待ってね。」
そう言われてまた保留にされました。
こんな状態なのにまた待たされるの……。
もう血が出てていることに気付いてから20分は経っていました。
その間ずっと出血が続いているからか、ついには気分が悪くなってきました。
頭もボーッとして考えがまとまりません。
5分程待ってやっと保留が解除されました。
この5分はとても長く感じました。
「分かりました、じゃあ救急車で来て頂いて大丈夫です。~~~…」
後半は何を言っていたかもう覚えていません。
通話が終わってスマホを母に渡すと、遠くの部屋にいた父がやって来ました。
母は私の状況と救急車を呼ぶことになった旨を伝えて、リビングの固定電話から救急車を呼ぼうとして父に「スマホからかけたらいい」と言われていました。
冷静に見えた母もかなり動揺していたようで、その後もスマホから119番にかけるも「繋がらない…!」と言って何度もかけ直していました。
私はその様子を薄くなる意識の中でボーッと見ていました。
もうだいぶ気力が落ちていました。
後から分かったのですが、どうやら母は焦って押し間違えて何度も199番にかけていたようでした。
父に「落ち着け」と言われ、やっと119番に繋がりました。
しばらく話をして、救急車が来てくれることになったようでした。
救急車に乗るのは初めてでした。
でもそんな事よりも、やっとこの状態から抜け出せると思うと安堵の気持ちでした。
そして赤ちゃんの事を思い出しました。
父に「赤ちゃんは?!」と聞くと、父が抱っこして来てくれました。
まだ退院してから3日目。
産まれてから1週間しか経っていません。
旦那は帰ってしまっていてこれから私まで運ばれていなくなったら、70近くの父と母に面倒をみてもらうしかありません。
私の母は、兄と私の2人を育て上げましたが、赤ちゃん育児は30年以上ブランクがありますし、何より当時と今では色々と変わっています。ミルクの作り方、あげ方、オムツの替え方等、分かっているか不安でした。
一方の父は、私が小さい頃は仕事やお酒で毎日帰ってくるのが遅く、子供の面倒はほとんど見なかったと母に聞かされていました。
そんな2人に産まれたばかりの赤ちゃんのお世話が出来るのか、不安になりました。
また、母が付き添って病院に来てくれるとのことで、これから急遽父一人で赤ちゃんの面倒を見ておいてもらわないといけません。
その事実に気付いた私は残っていた気力を振り絞っり、体を横にしたまま、大きな声で父にミルクの飲ませ方(粉ミルクは何さじ入れるのか、お湯を沸かして溶かして混ぜて、湯冷ましで冷まして、飲ませる時は傾斜を付けて、飲ませた後は必ずゲップをさせてetc)や、オムツ替えの仕方やタイミング、沐浴の方法など、口頭で事細かに説明しました。
父は「大丈夫だからまかせろ」と言ってくれました。
不安ですが今は頼るしかありません。
私は「ありがとう」とお礼を言いました。
私の赤ちゃん、これから少しの間一緒にいてあげられないけどごめんね…。
父にまかせろと言ってもらって安心したのか、急に体から力が抜けてしまい、戻っていた意識が再度遠のいてきました。
ずっと血は出続けています。
早く救急車来て…助けて…
もう目を開ける気力もなくなって、目を閉じてひたすら救急車を待ちました。
ほどなくして、玄関からガチャガチャと物音がして、救急隊員の方が到着されたようでした。
赤ちゃんの泣き声が聞こえました。
ビックリしてるよね、ごめんね、抱っこしてあげられなくてごめんね…。
ここからは意識が朦朧としていて記憶が曖昧なのですが、担架で救急車まで運ばれたと思います。
薄い意識の中で、救急車内に母が同乗してくれたことは分かりました。
病院に着くまでの間に何度か救急隊員さんに話し掛けられた気がします。
それに対して私も何か答えたと思うのですが、覚えていません。
続く ⇩⇩